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10月18日
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株価急落、食糧高騰と、アメリカを震源地とする世界規模の日常生活の危機が、人々の未来への希望を打ち砕いています。

いえ、アメリカだけでなく、グローバル化で生き残り、世界規模に巨大化した企業は、独占的に市場を操作する力を持って富を集め、

政治すら動かして(政治献金のほとんどは企業からのものだそうです)、いよいよ暴力的に弱者を踏みつけて巨大化していきます。

 

この状況は個人の努力とかのレベルではどうにもならないもので、かつ政治家にも期待できない状況が、未来を見えなくしています。

新自由主義という市場経済の流れを傍観しているだけでは、富の一極集中化が速度を速め、そのツケもまた弱いところに集中していきます。

いったい、どうしたらしたらいいのでしょう。 私たち庶民はこの状況悪化のスパイラルを指をくわえてみているしかないのでしょうか。

 

ノーム・チョムスキーの「金儲けがすべてでいいのか」をちゃんと読んでおけばよかった、と思いつつ本をひっぱりだしてきて

序文に目を通すと、現状への警告がちゃんと書いてありました。やはり私たち一人一人がもう一歩賢くなるしかない、ということなのですね。

 

『現状維持に勝る代案はないという考えは、人間の条件を改善する驚くべき技術が存在する時代に、以前にもましてひどいこじつけである。

確かに、実際に機能する、自由で人間的なポスト資本主義秩序をいかにして築くかということは未だはっきりしていない。

そうした考え自体ユートピアの雰囲気を持つ。

しかし、奴隷制を終わらせ、民主主義を確立することから、形式としての植民地主義を終わらせることまで、歴史のあらゆる前進は、

前にそんなことをしたことがないから、そんなことをするのは不可能だという考えをどこかで打ち破ることだった。

(略)

ポスト資本主義社会という考えが手の届かぬものに見えても、人間の政治行動が今住んでいる世界をはるかに人間味のあるものに

変革できることをわれわれはよく知っている。そしてわれわれがこの点に到達するとき、おそらく再びわれわれは、

協力と平等と自治と個人の自由の原則に基づく政治経済を樹立する考えを持てるようになる。

 

それまでは、(略) 途方もなく大がかりな変動が、来るべき何年かに、ここ何十年かに、起きようとしている。(本がでたのは2002年)

しかしながら、その大変動から何が出て来るのかについてはかなり疑問があり、それが自動的に民主的で人間味のある解決に至る

と考える理由はほとんどない。それは、われわれ民衆がいかに組織し、応え、行動するかで決まるだろう。

よいほうに変わる可能性がないように行動すれば、よいほうへ変わることはない。選択はわれわれの手の内にある。あなたの手にある。』

 

(「金儲けがすべてでいいのか」ノーム・チョムスキー著 山崎 淳訳 文藝春秋 R・W・マクチェスニーによる序文より抜粋)